こんにちは。群馬県伊勢崎市にある「すずき歯科医院」です。
根管治療は、歯の神経が炎症を起こしたり細菌感染したりした際に行われる大切な治療です。
しかし、他の歯科治療と比べて治療期間が長くなる傾向があります。「何回も通っているのに、まだ終わらない」と不安に思う方も多いでしょう。
この記事では、根管治療が長い治療期間を要する理由とともに、治療の流れについて詳しく解説します。この記事を参考に、根管治療に対する不安を少しでも解消してください。
根管治療とは、虫歯が進行して神経まで達した場合や、治療済みの根管内部が細菌に再感染した場合、外傷により歯が損傷した場合などに行われる治療です。
歯は外側から順にエナメル質、象牙質、歯髄という構造になっており、歯髄は血管や神経が通る軟らかい組織です。歯髄に炎症や感染が及ぶと、激しい痛みが生じたり、歯髄が壊死したりして、最終的には歯を残すことが難しくなります。
根管治療は感染した歯髄を除去し、歯髄が通っていた根管内を徹底的に清掃・消毒することで、感染をくい止め、自分の歯を残すための治療なのです。
根管治療にかかる期間は、患者さまの歯の状態や根管の複雑さ、感染の程度によって大きく異なります。症状が軽い初期の虫歯で、根管の感染が軽度なケースでは、治療が短期間で完了することもあります。
一方で、感染が根の先まで広がっていたり、根管の形状が複雑であったりするケースでは、より丁寧な治療が必要となるため、治療期間が長くなる傾向にあります。過去に根管治療を行った歯の再治療では、より慎重な処置が求められるため、治療期間が長くなることがあります。
治療期間の目安としては、一般的に3回〜5回程度通院して数週間で完了することが多いですが、複雑なケースではさらに通院が必要となる可能性もあります。
歯科医師は、患者さまの歯の状態を精密に診断し、治療計画を立てる際に、ある程度の治療期間の目安を説明します。治療の進行状況によっては、予定よりも期間が前後する可能性があることも理解しておきましょう。
根管治療に長い期間を要するのには、いくつかの理由があります。それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。
根管は、単に一本の管として存在しているわけではありません。主要な根管から枝分かれした細い管が多数存在し、これらの細部にまで細菌が潜んでいる可能性があります。
例えば、前歯に比べて奥歯は根管の数が多く、形状も複雑です。特に、上顎の奥歯は、複数の根を持っていることが一般的です。
さらに、根管は直線的な形状をしているとは限らず、大きく湾曲していたり、途中で枝分かれしていたりすることも少なくありません。
このような複雑な根管の内部を、歯科医師が肉眼で直接確認することは困難です。そのため、治療にはレントゲン画像や、より詳細な情報を得るためのマイクロスコープといった精密な医療機器が必要です。
これらの機器を活用しながら、歯科医師は手探りで根管の形状を把握し、複雑に入り組んだ細部まで丁寧に清掃・消毒を行います。もし、根管の奥深くに潜む細菌をわずかでも見逃すと、治療後に再感染を引き起こす可能性が高まり、結果として治療を繰り返すことになりかねません。
複雑な根管の隅々まで確実に治療を行う緻密な作業を行うため、多くの時間を要するのです。
細菌は非常に小さく、目には見えません。そのため、根管内部を器具だけでなく薬剤も使用して徹底的に洗浄し、消毒する必要があります。
この洗浄・消毒のプロセスは、一度で完了するわけではありません。細菌の感染がひどい場合には、数回にわたって洗浄と消毒を繰り返す必要があるため、治療期間が長引くことがあります。
また、根管内部の細菌を完全に死滅させるためには、薬剤の効果が十分に発揮される時間も考慮する必要があります。そのため、治療と治療の間には、一定の期間を置くことが一般的です。
感染の広がり方や膿の量など、患者さまごとに症状の進行度合いが異なるため、歯の状態を見ながら適切なタイミングで処置を行う必要があります。一度消毒しても再度細菌が繁殖しないよう経過を観察しながら進めるため、通院が数回に分かれ、全体として長い期間を要します。
根管治療は、どうしても通院回数が多くなり、治療期間が長く感じられるかもしれません。
しかし、この治療に時間をかけることには、非常に重要な意味があります。根管内部の細菌を完全に除去しないまま短期間で治療を終えると、多くの場合、数か月後や数年後に再び痛みが出たり、炎症が再発したりするリスクが高まります。
そして、一度治療した歯の再治療は、初回治療よりもさらに困難になることが多くなります。以前の治療で使用された薬剤や材料の除去、複雑になった根管の再清掃など、より専門的な技術と時間を要するためです。
時間をかけて根管治療を行うのは、将来的な再発のリスクを最大限に抑え、長期的に歯の健康を維持するためにも重要と言えるでしょう。
さらに、根管治療を行わずに感染が進行し、最終的に歯を失った場合、その機能を補うためには別の治療法を選択せざるを得なくなります。それぞれにメリットとデメリットがあり、根管治療と同様に、あるいはそれ以上に費用や時間、そして身体的な負担がかかる可能性があります。
根管治療によってご自身の歯を残すことができれば、これらの負担を避けられます。どんな治療法よりも快適な自分の歯で食事ができるのです。
根管治療は、一般的に以下の流れで進められます。
レントゲン撮影やCTなどの精密な検査を行い、歯の状態や根管の感染状況を詳しく診断します。その結果に基づいて、患者さまの治療計画を説明します。
治療期間の目安や、治療のリスク、費用などについても詳しく説明がありますので、不明な点や不安なことは遠慮せずに質問しましょう。
治療を開始する前に、周囲の歯や歯茎に麻酔をかけ痛みを感じにくくします。次に、ラバーダムと呼ばれるゴムのシートを装着し、根管内に唾液や血液といった口腔内の不要な物質が侵入するのを防ぎます。
この状態で歯の頭の部分に小さな穴を開け、根管内部にアクセスします。
根管内部にアクセスしたら、専用の器具(ファイル)などを用いて、感染した神経や血管などを丁寧に除去していきます。この作業は、根管の形状に合わせて、慎重かつ精密に行われます。必要に応じて、根管内部を洗浄するための薬剤を使用します。
根管内部の清掃後、消毒薬を根管内に注入し、一定期間置いておきます。感染の状態によっては、この消毒のステップを数回繰り返すことがあります。
根管内部が十分に清掃・消毒され清潔な状態になったら、再び細菌が侵入するのを防ぐための処置を行います。根管内に、薬剤とともにガッタパーチャと呼ばれるゴム状の材料を隙間なく緊密に充填します。根管充填は、治療の成否を左右する非常に重要なステップです。
根管充填後、大きく歯質が失われている場合には、被せ物を装着するための土台を作る必要があります。土台は、歯の欠損部分を補強し、被せ物をしっかりと支える役割を果たします。
最後に、歯全体の形を整え、強度を高めるための被せ物を作製し、装着します。被せ物の素材や形状は、患者さまの歯の状態や希望に合わせて選択されます。
被せ物を装着した後も、定期的なメンテナンスが非常に重要です。歯科医師や歯科衛生士による専門的なクリーニングや検診を受けることで、再感染のリスクを減らし、歯を長く健康な状態に保てます。
治療後も、何か気になる症状があれば、早めに歯科医師に相談しましょう。
根管治療は、歯の神経に達した感染や炎症を治療し、歯を抜かずに長く使うために欠かせない大切な治療です。その分、治療には精密さと時間が求められ、数回にわたる通院が必要になります。
しかし、それは歯の寿命を延ばし、再発を防ぐための重要なプロセスなのです。根管治療が長く感じられるかもしれませんが、将来のご自身の歯のためにも、焦らず丁寧な治療を受けましょう。
根管治療を検討されている方は、群馬県伊勢崎市にある「すずき歯科医院」にお気軽にご相談ください。
当院では、自分の家族にできない治療はしないことを意識しながら、さまざまな診療を行っております。ホームページはこちら、お問い合わせも受け付けておりますので、ぜひご活用ください。
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